たるみ治療で失敗・後悔しやすい根本原因

「HIFU(ハイフ)を定期的に受けているのに、フェイスラインのもたつきが解消しない」
「糸リフトを入れたけれど、数ヶ月ですぐに戻ってしまった」
「ほうれい線にヒアルロン酸を入れたら、顔がパンパンに膨らんで不自然になった」
美容医療の現場において、このようなお悩みを抱えて来院される患者様は後を絶ちません。なぜ、高額な費用や時間をかけてたるみ治療を受けているにもかかわらず、満足いく結果が得られないケースが存在するのでしょうか。
1つの要因として、自己判断でたるみ治療を選んで施術を受けられていないでしょうか?
患者様ご自身が施術を決めてクリニックに相談される場合、多くのクリニックではその施術をベースに治療の話が進んでしまいます。つまり医学的な治療のプロセスである『診察→診断→治療適応→治療開始』のうち診察から治療適応までがぽっかりと抜け落ちてしまうリスクがあります。自己判断で治療を受けられているので本当に適応があるのかどうか医師の診察や判断を受けられていないため、本当に適切なたるみ治療を受けられていない可能性があります。
ましてや患者様ご自身が受けたい施術を選んで専門クリニック、例えば糸リフトのみをウリにしたクリニックに相談すれば、どのようなたるみに対しても糸リフトをメインでお勧めされることは容易に想像がつきます。糸リフトが本当に適切な治療なのか詳しい説明も他の適切な治療の提案もないまま治療を受けられるため、効果が得られないと感じるケースが生じてしまいます。
ではどうして治療の適応が大切なのでしょうか?その理由は「顔のたるみは複数の深さ(レイヤー)で同時に進行している」という解剖学的真実にあります。
顔のたるみは、皮膚表面の緩みだけで起きているわけでも、筋膜の緩みだけで起きているわけでもありません。骨、靭帯、筋肉、脂肪、真皮といった異なる組織がそれぞれ独自に退行変性(老化)を起こしています。
そのため、「ハイフだけ」「糸リフトだけ」「ヒアルロン酸だけ」といった単一治療への偏りでは、問題の本質を解決することはできません。今、美容医療に求められているのは、顔面の解剖学的構造を層ごとに正しく見極める「解剖学的アプローチ(5層理論に基づくレイヤー別治療)」です。
「5層理論」で理解する顔の解剖構造と老化現象

顔面の解剖学(Facial Anatomy)において、軟部組織は浅層から深層にかけて明確な「5つの層(5層理論)」に分類されます(Mendelson & Wong, 2012)。
第1〜2層:表皮・真皮層(Skin / Dermis)
紫外線や加齢に伴い、真皮内の細胞外マトリックス(ECM)を構成するコラーゲンやエラスチンが変性・減少し、真皮密度が低下します。小じわ、毛穴の開き、皮膚表面の弾力低下(ちりめんジワ)として現れます。
第3層:皮下組織・脂肪層(Subcutaneous Fat)
皮下脂肪は均一な一枚の板ではなく、複数のコンパートメント(脂肪区画)に分かれています。加齢により一部の脂肪区画(メーラーファットやジョールファット)は重力で下垂し、別の区画(こめかみや頬中央)は萎縮してボリューム減少(ボリュームロス)を起こします。
第4層:SMAS筋膜・靭帯(SMAS & Retaining Ligaments)
表情筋と連動するSMAS(表在性筋膜群)と、皮膚を骨に強固に繋ぎ止める支持靭帯(リガメント)が存在します。靭帯が緩むことで、その上を覆う脂肪体と皮膚全体が一気に地崩れを起こすように下垂します。
第5層:骨膜・深部(Periosteum & Deep Fascia)
顔面の土台となる顔面骨(眼窩縁、上顎骨、下顎骨)は、加齢とともに骨吸収(骨性萎縮)を起こして縮小します。土台が小さくなることで、その上を覆う皮膚組織が相対的に余り、たるみをさらに加速させます。
たるみの階層構造と4大アプローチ(比較表)

各層で起きている病態が異なる以上、アプローチすべき手技(デバイス・術式)も層ごとに厳密に使い分ける必要があります。
| たるみの深度(レイヤー) | 主な症状・老化現象 | 最適な治療アプローチ(手技) |
|---|---|---|
| 第1〜2層:表皮・真皮層 | 小じわ・弾力低下・毛穴の開き | ソフウェーブ、高周波(RF) / ECMスキンブースター / 注入治療 |
| 第3層:皮下組織・脂肪層 | 局所のもたつき・下垂・ボリューム減少 | 糸リフト(スレッドリフト)/ 輪郭形成注入 |
| 第4層:SMAS筋膜・靭帯 | フェイスラインの乱れ・口横のもたつき | HIFU / 機器コンビネーション / 支持靭帯アプローチ |
| 第5層:骨膜・余剰皮膚 | 重度の皮膚余り・骨性萎縮による凹み | 切開フェイスリフト / 深部注入 |
各治療法の強みと限界:なぜ全層アプローチが必要か

すべての治療法には、それぞれ「得意な領域(強み)」と「構造上不可能な領域(限界)」が存在します。
① マシン治療(照射系:HIFU・RF)の強みと限界
強み: ソフウェーブは真皮層(第1〜2層)に熱凝固を与えてコラーゲン・エラスチン再構築を促し、HIFU(ニューダブロ2.0等)は脂肪層〜SMAS筋膜(第3〜4層)を熱収縮させて組織のボリュームコントロールとタイトニングを行います。高周波治療は1〜4層までの全層に熱を入れられます(ただし熱量が分散してしまうため前者2つと比べると深部温度の上昇が抑えられてしまいます)。
限界: 非侵襲で手軽な反面、下垂した脂肪体を本来のチークトップへ物理的に移動させる力や、大きく伸びて余ってしまった余剰皮膚を切り取ることはできません。
② 糸リフト(スレッドリフト)の強みと限界
強み: トゲ(コグ)を用いて下垂した脂肪体を斜め上方の強固な固定点(深側頭筋膜等)へ物理的に移動(リポジショニング)させ、直後からシャープなVラインと中顔面短縮を形成します。また、糸の周囲にできるコラーゲン線維(コラーゲンピラー)により将来のたるみ予防効果(コラーゲン貯金)をもたらします(Suh et al., 2015)。
限界: 真皮浅層(第1〜2層)の肌質改善や毛穴・ちりめんジワを埋めることはできず、また重度の皮膚余剰が存在する場合に無理に引っ張ると、耳前に皮膚がたまり不自然なひきつれを生じます。
③ 注入治療(ヒアルロン酸・ECM製剤)の強みと限界
強み: 骨性萎縮(第5層)による凹み(こめかみ、頬のこけ)を深部注入で補正し、光の反射を整えて滑らかな輪郭を再建します。また、ヒト由来無細胞性真皮基質(hADM: Skinplus™)などのECM製剤・スキンブースターは、真皮浅層に完全な足場を直接補給し、M2マクロファージ優位の組織再生を誘導して皮膚のはり、小皺や艶そのものを改善する効果が認められます(Brown et al., 2012; Crapo et al., 2011)。
限界: 凹みを埋めたり肌育を行うことはできますが、下垂した組織構造全体を強力に引き上げる力には限界があります。下垂した脂肪を無視してほうれい線の溝だけに大量注入すると、いわゆる「パンパンなヒアル顔」を招きます。
解剖学的診断(Anatomical Assessment)に基づく適応の見極め

不適切な治療の回避
たるみ治療における最大の失敗は、「不適切な治療の選択」です。
- 皮膚の余りが極めて強い患者様に、切開を避けて糸リフトを何十本も無理に挿入する。
- 脂肪の下垂が主因であるにもかかわらず、ヒアルロン酸で無理に溝を埋めようとする。
- 真皮の弾力が完全に失われている組織に、深部ハイフだけを当て続ける。
これらはすべて、解剖学的な適応を見誤った結果として起こるトラブルです。
単一治療への偏りを排したオーダーメイド複合治療の設計
真に美しく自然な若返りを実現するためには、医師が解剖学的診断(Anatomical Assessment)に基づき、患者様一人ひとりのお顔のどの層に主原因があるかを正確に見極める必要があります。
【当院が実践する多層複合アプローチの設計例】
- 浅層(第1〜2層):ECMスキンブースター(Skinplus等)/高周波RF・ソフウェーブで真皮基盤を再構築
- 中層(第3〜4層):HIFU(ニューダブロ2.0)で組織を引き締め ➔ 糸リフトで脂肪体をチークトップへ再配置
- 深層(第5層):骨性萎縮部位にのみ適量のヒアルロン酸でボリューム補正
- 重度弛緩例:切開リフトで余剰皮膚を切除し、根本的な若返りを達成
特定の施術に患者様を誘導するのではなく、「単一治療への偏りを排したオーダーメイド複合治療」を提供することが、ダウンタイムを最小限に抑えつつ最大の持続性と満足度を生み出す唯一の正解です。
【まとめ】たるみ治療は、全層を診て正しく組み合わせる時代へ

たるみ治療は、単一のデバイスや手技で完結する時代から、「解剖学に基づき、皮膚の全層(5層)を立体的に診て正しく組み合わせる時代」へと進化しました。
- 表面のハリ・小じわが気になるなら ➔ 真皮ECM製剤・高周波RF
- 脂肪の重みとフェイスラインの乱れには ➔ HIFU・糸リフト
- 骨や脂肪のコケ・影には ➔ ヒアルロン酸注入
- 根本的な皮膚の余りには ➔ 切開フェイスリフト(MACSリフト等)
当院では、20年間の脳神経外科医としての執刀経験とミリ単位の顔面解剖学研究に基づき、マシン・糸・注入・切開リフトまで全ての選択肢を自ら執刀・提供できる体制を整えております。
偏りのない客観的な診断を受けたい方、過去の治療で満足できなかった方は、ぜひ一度当院の初診カウンセリングにて解剖学的アセスメントをお受けください。
当院について

アトラクレアビューティークリニック新宿では、頭部解剖を学びに2年間の米国留学経験のある、繊細な技術を20年間磨き続けてきた元脳神経外科医の院長が、解剖学的な知見をもとに注入・リフトアッププランを設計します。
当院は新宿駅から徒歩1〜2分と通いやすく、施術後のダウンタイムにも配慮しています。自分に合うたるみ治療を選びたい方は、まずは無料カウンセリングでご相談ください。ご予約はWeb・LINE・お電話から承っています。
【クリニック情報】
| 電話番号 | 03-6273-6255 |
| 住所 | 東京都渋谷区代々木2-7-5 EX-SIDE 南新宿6F |
| アクセス | JR新宿駅 新南口から徒歩2分 京王線・都営地下鉄 新宿駅A1出口から徒歩1分 小田急線 南口改札から徒歩2分 |
| 休診日 | 日、不定休(※最終週のみ土日休診) |
| ご予約 | LINE予約はこちら |
独自理論・治療方針
5層理論 (5 layer theory) 顔の組織を解剖学的に5つの層に分類し、各層に最適なアプローチを組み合わせる独自のメソッド。脳外科医としての解剖学的な知見を活かし、表面的な美しさだけでなく、土台からの根本的な若返りと美の構築を実現します。
解剖学に基づいた柔軟で客観的なアプローチ 解剖マニアの院長が解剖学的な視点から客観的に効果を評価し、患者様にとって真に必要な施術をご提案します。また、糸やインプラントを使用する施術についても、適応を見極めた上で効果的な選択肢として積極的に取り入れています。
得意とする施術・注力分野
【専門施術】
- 切開フェイスリフト
- 糸リフトとヒアルロン酸注入のコンビネーション治療(シルキー・オーバルライン)
- ナチュラルシリコン豊胸 プリザベ(Preservé)
【先進医療機器を用いたコンビネーション治療】
- 痛みもダウンタイムも抑えた無針水光注射 シナージェット(Synerjet)
- 真皮を引き締める厚労省認可医療機器 ソフウェーブ(Sofwave)
- RFとHIFUを1ショットで同時照射する唯一の機器 ニューダブロ2.0(New Doublo 2.0)
参考文献(References)
- Mendelson, B., & Wong, C. H. (2012). Changes in the facial skeleton with aging: implications and clinical applications in facial rejuvenation. Aesthetic Plastic Surgery, 36(4), 753–760.
- Brown, B. N., Londono, R., Tottey, S., Zhang, L., Kukla, K. A., Wolf, M. T., Daly, K. A., Reing, J. E., & Badylak, S. F. (2012). Macrophage phenotype as a predictor of constructive remodeling following the implantation of biologically derived surgical mesh materials. Acta Biomaterialia, 8(3), 978–987.
- Crapo, P. M., Gilbert, T. W., & Badylak, S. F. (2011). An overview of tissue and whole organ decellularization processes. Biomaterials, 32(12), 3233–3243.
- Reing, J. E., Zhang, L., Myers-Irvin, J., Cordero, K. E., Freytes, D. O., Heber-Katz, E., Bedelbaeva, K., McIntosh, D., Dewilde, A., Braunhut, S. J., & Badylak, S. F. (2009). Degradation products of extracellular matrix affect cell migration and proliferation. Tissue Engineering Part A, 15(3), 605–614.
- Suh, D. H., Jang, H. W., Lee, S. J., Lee, W. S., & Ryu, H. J. (2015). Outcomes of polydioxanone knotless thread lifting for facial rejuvenation. Dermatologic Surgery, 41(6), 720–725.
- de Lorenzi, C. (2017). Complications of injectable fillers, part 2: vascular issues. Aesthetic Surgery Journal, 37(7), 838–847.
- Tonnard, P., Verpaele, A., Monstrey, S., Van Landuyt, K., Blondeel, P., Boeckx, W., & Vanderstraeten, G. (2002). Minimal access cranial suspension lift: a modified S-lift. Plastic and Reconstructive Surgery, 109(6), 2074–2086.






